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Sayoko Suwabe
テキスト
《水のある空間について》
《水》は無名です。
誰のものでもあって、誰のものでもありません。
誰か(何か)のもとに寄り添っては流れ、他のもとにまた還っていきます。
ここでは、この天体Aの重力に引っ張られる水の姿を描きました。
いつかあなたに寄り添った水も、もしかしたらここに集まっているのかもしれません。 この形態が一回りする間に、13.92秒の時間が経ちます。
地球が一回りする間には、23時間56分4秒の時間が経ちます。
質量によってものの持つ重力の大きさは変わってゆきます。
限りなく小さくはあるけれど、この回転するカタチにも確実に重力があるのです。
ほら、あなたの髪がなんだか引っ張られる感覚はありませんか? この回る天体の重力に引っ張られ、この場所ではもっと様々なことが起きていることでしょう。
美術館という場所で水はご法度です。
普段出入りを禁じられているこの部屋に、 彼らを呼び寄せたくて、この作品を作りました。
彼らが確実にこの場所にいることを、感じられるでしょうか?
あらゆるところに存在する《水のある場》を思いながら描いた
ドローイングと共に、この空間を体験してくれると嬉しいです。
壊れてしまっていたら係にお知らせください。
諏訪部佐代子
展示の際のテキストより
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